このブログシリーズでは、なかなかアーティストに届かない、日本語ができないヴィジュアル系のファンの声を聞いて、それをここで伝えたいと思います。お互いが分かり合えるための情報を共有できる場所を作っていきたいです。
音楽のデジタル化、音楽のストリーミングやダウンロードなどのサービスの普及により、海外にも日本のロックやヴィジュアル系のファンが多く存在し、ファンのコミュニティも見られます。ただ、海外ファンの大半が日本語を話せないので、彼らが日本の音楽をより楽しむために、何がもっと必要か聞いてみました。
― 歌詞翻訳を付ける
前回のブログ記事では、歌詞を理解できないファンが、曲に対して自分の感情や解釈を投影して、自分の心象風景を描けるということがヴィジュアル系の魅力であると述べましたが、実際には大多数のファンは歌詞の意図した意味を知りたいと思っているようです。
「ちゃんと翻訳された歌詞があることは、私にとって本当に大切です。曲の意味が理解できなければ、その曲の大事な部分が自分にとって足りないです。翻訳アプリを使って歌詞を調べても、ニュアンスが伝わらないことが多いんですよね。ヨルシカやYOASOBIのような人気のあるアーティストは歌詞を翻訳していますが、それ以外のアーティストや新しいアーティストは翻訳がないことが多いです。」(Danielle、30代)
確かに歌詞は曲の中で重要な部分であり、歌詞でバンドの世界観や想いを伝えています。そのため、好きなアーティストの情報を英語で入手することが難しい海外ファンにとって、歌詞を理解することは非常に重要なことなのです。
― 英語のインタービューを実施する
インタビューは、ファンがアーティストのことをより深く知るための重要なメディアであり、アーティストが自分の想いを直接伝えるためのものです。日本にいる、日本語を理解できるファンは「Vif」や「びじゅなび」などのオンラインサイトや、「ROCK AND READ」、「キュア」などの雑誌や音楽店で配っているフリーペーパーでアーティストのインタビューを楽しむことができますが、日本語を話せないファンは、バンドのことをより知るための情報収集は非常に限られています。
例えば、ファンが自身で別のファンのために翻訳したインタビューを読むか(ほとんど昔のインタビューで、クオリティーに差があります)、自動翻訳アプリを使うか(不自然な表現やわかりにくい場合があります)、それとも、「JaME」や「LIVE JAPAN MUSIC」のような、日本のバンドのオリジナルの英語インタビューを掲載しているサイトをチェックするしかないです。ただ、海外ファン向けのサイトでも、日本のオンラインサイトと比べると、記載されているバンドやインタービューが少なく、情報発信は限られています。
従って、海外のファンの間では、アーティストのパーソナリティや世界観に対する勘違いがよくあり、バンドやメンバーに対するネガティブなイメージを持たれていることが多いようです。
私個人としては、インタビュー記事が本当に好きで、毎回自分で翻訳をしなくてもアーティストのことをよりよく知ることができたらいいなと思っています。( Jenna、20代)
アーティストがインタビューに英語翻訳を付けたり、様々なコンテンツを英語で提供することで、海外ファンがアーティストの想いを直接知ることができれば、ファンとアーティストはより良い関係を築くことができるでしょう。
― 海外ファン向けのチケット販売方法を導入する
海外からのライブチケットの購入が簡単にできるようにしてほしい。イープラスのようなチケットサービスは日本の電話番号が必要なものが多いですが、私は日本にいた時、LINEだけでも十分でしたので、電話番号を持っていませんでした。なので、結局ライブチケットを買うには日本の電話番号を持っている友達に頼むしかなかったです。最近コロナ禍のライブ配信もそうですが、日本に住んでいないと見れないというサイトがまだあるのはおかしいと思います。(Leyla、20代)
確かに、海外のファンにはライブのチケットを購入するのは非常に複雑なことです。イープラスなどのプラットフォームで販売されているため、海外にいるファンがチケットを購入することはできません。海外ではPayPalやクレジットカードなどのデジタル決済が主流ですが、日本では、チケットを申し込んで、コンビニ払いが一般的です。そして電子チケット対応不可が普通です。そのプロセスは日本に住んでいる方じゃないと、ライブに行けません。海外ファンは日本の友人に頼るか、見知らぬ人に個人的なショッピングサービスを頼む必要があります。
PayPalや(国内以外の)クレジットカードなどの支払いオプションを追加し、電子チケットにも対応することで、海外ファンはライブに参加しやすくなります。そして、日本でのライブ経験が、ストレスなしの(チケット購入の不便さ)、よりポジティブな楽しい思い出でになるではないかと思います。
― グッズの海外発送を増やす
チケットの問題と同様に、多くのグッズは海外から購入することができません。オンラインショップの多くは未だにクレジットカードやPayPalなどの一般的なオンライン決済に対応していないため、国際配送していないのが現状です。従って、海外ファンは日本の友人にグッズを頼むか、見知らぬ人からの怪しいショッピングサービスを使うか、それ以外の方法がありません。特にショッピングサービスでは、法外な価格で転売している人いるので、購入しにくい状態です。実際、海外ファンはグッズの購入を控えることが多いです。
海外配送のオプションを追加することは、不正な価格の仲介業者を排除でき、より安全に海外ファンがアーティストのグッズを購入できるようになります。
― 海外ファンとのコミュニケーションを積極的に行う
海外ツアーの時以外、ほとんどのバンドが海外ファンとコミュニケーションを取ってくれないというコメントがありました。それで、海外ファンが取り残されているように感じているようです。SNSの小さなキャプションの意味を知っているだけでも、アーティストとのつながりを感じられるのではないか、との意見もありました。
もちろん、海外ファンは日本のミュージシャンが二ヶ国語で全てを共有することを期待しているわけではありませんが、現在コロナ禍で日本への渡航も厳しい中、海外ファンは好きなバンドに会いに行けません。そんな中で、アーティストから海外ファンへメッセージが発信されれば、とても勇気づけられます。 今後もファンとのコミュニケーションをするための、英語のコツや役立つ文章をもっとシェアしていく予定ですので、ご期待ください。
以上
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